自分の大切な愛犬を美容やお泊まりで預けることもある、ペットサロンやペットホテル。
でもどこのサロンやホテルがいいのか、
よく分からないという人も多いと思います。
そこで、ペットサロン従業員の私目線で、どう選ぶといいのかを考えてみました。
見えない場所で起きるペットへのひどい扱い
先日、SNSで見たニュース。
生後4ヶ月ほどのシェパードを、しつけのためにとペットサロンへ預けたところ、
賢くなって帰ってくるどころか亡くなってしまったというお話。
ペットサロン側の説明では虐待はなかったということだったけど、
納得できなかった飼い主さんが聞き取りや解剖などで調べた結果、
虐待と思われる行為があったようだということでした。
他にも、
あるペットショップではトリミング中に誤って首あたりをはさみで切ってしまい、
ワンちゃんが亡くなったという事故のニュースも目にしました。
大切なペットが、ペットショップに預けたらケガしたり亡くなるなんて
普通、想像もしないですよね。
動物を大切に扱うところが大半だと思いますが、
こういった業者がいることも事実だと思うと悲しくなります。
ペットサロンではどう扱われているの?
トリミングやお泊まりでペットサロンを訪れる飼い主さんは、
ワンちゃんを預けたら、通常いったんお店を離れます。
お泊まりであれば、そのまま旅行や用事に出かけてしまうでしょうし、
トリミングであっても、
時間がかかるのでその場にいてずっと見ているという人は基本的にはいません。
だからこそ、信頼できるお店に預けたいと思うのが飼い主さんの心理だと思います。
私が働いているペットサロンでのことになりますが、
実際どんな様子なのかを書いていこうと思います。
トリミングの流れ
犬を預かって美容を行う場合、流れとしてはこんな感じです。
①ケージで順番待ち
②ブラッシング
③仮カット、耳掃除
④シャンプー
⑤ドライヤー
⑥カットして整える、爪切り
⑦ケージでお迎え待ち
ブラッシングが嫌いな子、水を怖がる子、ドライヤーを嫌がる子、
爪や耳掃除を嫌がる子、
足を触るとひっこめる子・・・などなど
「美容は恐怖」と思っているワンちゃん、実は結構多いです。
ワンちゃんを叱ることはあるのか?
お客さんの大切な犬を預かってるのに、叱りつけることなんてないでしょ!?
って思っている人が多いのではないかと思いますが、
実際は口頭で怒ることはあります。
ただ、怒鳴りつけるという表現は正しくないです。
先ほど書いたように、ある行為を怖がる子は多くいます。
最初は「大丈夫だよ~」「怖くないよ~」などど優しく声をかけるのですが、
どうしてもやらせてくれないワンちゃんもいるんです。
そんな時はトリマーも人間ですからね、「イラッ」としちゃうわけですよ。
「ちゃんとしてくれないとできないよ!」
「きれいにしないと帰れないでしょ!」
などと強めに言う事はあります。
特に声を荒げてしまいそうになるのは、ワンちゃんに危険が及びそうな時です。
例えば、目と鼻の間の毛をはさみでカットしようとすると、
急に首を振って嫌がったり。
耳掃除のときに、突然顔を動かしたり。
それを何度も繰り返すようなことになると、
どうしてもきつく叱ることになってしまいます。
ワンちゃんにとって怖いことは、トリマーだって理解してるんですよ。
目の前に尖ったはさみの先があるわけだし、
耳掃除も耳のあたりでガサゴソと嫌な音がするわけだし・・・。
でも、そんな場面で突然ワンちゃんが動き出したら、
はさみで目を突いてしまう可能性もあるし、皮膚にはさみが刺さってしまう可能性もあります。
そんな「ワンちゃんにとって危険なこと」になりかねない場合には、
怒ることもあるんです。
ワンちゃんをたたくことはある?
では、怒っても言うことを聞いてくれない時に、
ワンちゃんをたたいたり、わざと怖がらせたりすることはあるのか?
というと、
それは私の働いているペットサロンではNOです。
これをしてしまうと、「虐待」ですから。
ただし、暴れてどうしようもないワンちゃんが来たときは、
一人が体を抑えて、もう一人がカットするといったことはあります。
ワンちゃんにとっては、抑えられて身動き取れないのは恐怖だとは思いますが、
これは仕方のない範疇だと思うんです。
じゃないと、全くトリミングができないんですから。
また、噛みクセのあるワンちゃんには、エリザベスカラーを付けることもあります。
エリザベスカラーとは、
首につけるもので、エリマキトカゲみたいになるやつです。
シャンプーやカットの際に、
首輪をどこかにくくりつけて動きを完全に制限してしまうといったことはありません。
台から落ちないように動きを制限しているペットショップもあるようですが、
私が働いているお店ではやっていません。
どうしても暴れる場合には、
先ほど書いたように、人が体を抑えるという方法で一時的に動きを制限します。
とはいえ、ワンちゃんが苦しむような抑え方はもちろんしませんよ。
足を持って逃げないようにしたり、
座り込まないように、お尻の下を手で支えて立たせたり、
といったレベルです。
犬が痛いことをする場合がある?
犬が痛がることをやむを得ずすることもあります。
もちろん、できる限りしない方法を探すのですが、
どうしても仕方ない場合もあるんです。
それは、毛玉取りです。
お宅でお手入れがされておらず、
毛がかなり絡まってしまっている状態でやってくる犬もいます。
某TV番組で相葉雅紀さんがされているように、
バリカンで短くしてしまえば、犬が痛がることはありません。
でも、毛は長くしておいて欲しいといった飼い主さんからの要望がある場合は、
カットできないので、
何とかしてブラシで毛玉をほぐしていくしかありません。
皮膚を引っ張らないように、少しずつ少しずつ毛玉をほぐしていくのですが、
皮膚近くまで毛玉ができてしまっているような場合には、
ワンちゃんが痛がることもあります。
でも、これはどうしようもない場面だと思います。
ワンちゃんも痛い時は「キャン」と鳴きます。
それでも「痛いよね、ごめんね」となだめながらやるしかないんです。
そんなトリマーの辛い心情も分かってほしいなとも思っちゃいます。
良いペットサロンの見分け方
では、信頼できるペットショップやペットサロン、ペットホテルなのかどうかを
どうやって見分けたらいいのか。
美容やお泊まりから帰ってきたペットが、
「今日、すごいひどいことされたの~」
なんて話してくれれば分かりやすいですが、そうもいきませんよね。
だからこそ、難しい。。。
私の主観ですが、さまざまなペット関連のお店を見学したり、
今のお店で働いていて感じることで、
『ペットのこんな態度で分かるんじゃないかな?』
といった点がいくつかあります。
・ペットショップの前まで来ると、すごく嫌がる(怖がる)
・戻って来た後、元気がないor食欲がない
・異常に甘えたがる
このような様子の時は、わんちゃんがお店に恐怖を持っていたり、
精神的に辛かったのだろうと思われます。
逆に、お店に行くと喜ぶ場合は、いいお店だと言えると思います。
私の働くお店にも、大喜びで美容に来てくれるわんちゃんがたくさんいます。
でも、その子達すべてが大人しく美容させてくれる子ばかりではないんですよ(笑)
お風呂が怖くて暴れたり、カットの時にじっとしていられなかったりする子も、
喜んで来てくれるんです。
きっとトリミングに来るのが嫌なはずなのに、
それでも喜んで来てくれるのは、私達スタッフが愛情を持って接していることを
分かってくれているからなんだろうなと、自画自賛ですが思ったりします。
また、ワンちゃんとの相性というのもあるんじゃないかなと。
とても良くしてくれるお店であっても、ワンちゃんが嫌がる場合もあると思うんです。
それは、人と同じで「なんか雰囲気が合わない」とか「この人何となく苦手」
なんていう感情がきっとあるんだろうと思うわけです。
なので、『ワンちゃんが嫌がるお店=ひどいお店』
というわけでもないとも思っています。
ただ、この子にとっては好きじゃないお店なんだろうから、
そこはお店を変えてあげた方が良いんだろうなと。
相性がいいかどうかは難しいところですが、
わんちゃんの様子を観察することで、
「あ、このスタッフさんの事、苦手そう」とか、
何となくですが分かると思うので、よく見てあげると良いと思います。
まとめ
あくまで私の個人的な主観ですが、いかがでしたでしょうか?
わんちゃんの感情を一番汲み取ることができるのは、
やっぱり飼い主さんだと思います。
ペットショップやサロン、ペットホテルへ行く前や後の
ワンちゃんの様子をよく観察して、
ワンちゃんが大きなストレスを抱えてしまわないようなお店選びをしてあげて欲しいです。
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